ダイエット中に起こる髪のトラブルと対処法【前編】

ダイエットをしていると髪がパサついてきたり、抜け出したり、薄毛になったり……。これは前のような髪に戻るの?と思いますよね。そんな疑問について、内科医の桐村里紗先生に答えていただきました。

この記事を監修する専門家
桐村里紗 先生

内科医・認定産業医。tenrai株式会社代表取締役医師。
桐村里紗 先生

予防を重視し、分子整合栄養医学や食によるケアでのアドバイスが専門で、テレビや講演などで活躍。著書に『腸と森の「土」を育てる』(光文社新書)が話題に。

髪が生まれてから抜け落ちるまでのサイクル

髪が生まれてから抜け落ちるまでのサイクル イメージ

ダイエット中かどうかに限らず、髪は毎日100本ぐらい抜けていきます。これは、正常なこと。

ダイエット中かどうかに限らず髪は抜けていく イメージ

日本人の髪の毛は、平均して約10万本生えているといわれます。その大部分が、毛母細胞が分裂・増殖する「成長期」で、その後、成長が止まる「退行期」が2〜3週間あり、その後、数カ月間は「休止期」です。

髪の毛は、毛母細胞が分裂することで生成します。 休止期になると毛母細胞の活動が休止して髪の毛の成長が完全に止まります。そのかわり、その下で行われた分裂から生まれた毛母細胞によって新しい髪が生まれ、新しい髪に押し出されるように、休止期だった髪が抜け落ちます。これが1日100本ぐらいあるそうです。

まず、そのサイクルを理解しておいてください。

毛髪の成長サイクル イメージ

過激なダイエットで起こる2大リスク

過激なダイエットで起こる2大リスク イメージ

この通常のサイクルが、ダイエットによって異常になってしまうことがあります。

その原因の一つが「ストレス」です。仕事の上で、人間関係といったストレスだけでなく、ダイエットをやっていること自体を体がストレスと感じてしまうのです。

ダイエットをやっていること自体がストレスに イメージ

もう一つの原因が、ダイエットによる「栄養不足」です。

何千年、何万年前に飢餓を経験してきた人間は、栄養が体に入ってこなくなると「大変だ!」と、あわてます。そして、栄養を生死に関係する臓器などにどんどん送り込み、生きていく上で優先順位の低い髪の毛に回すのは後になります。
そのためにパサつきが出たり、抜け出したりするのです。

極端なダイエット イメージ

また、極端なダイエットとして、食べずに胃を小さくするという人がいます。俳優などが、短期間で細くならなければならない時などにやるそうですが、その話を聞き、自己流のファスティングをしたりするのは危険です。

そんなダイエットをしていると、まず犠牲になるのは髪や爪など、生命維持に直接関係していない場所なのです。

突然始まる脱毛/じわじわと進行する脱毛

突然始まる脱毛/じわじわと進行する脱毛 イメージ

ダイエットによるストレスや栄養不足が原因で、突然、髪が抜け出すということがあります。成長期にあった髪が、急に休止期になるスイッチが入るのです。

それを「急性休止期脱毛」といいます。髪が成長の途中で抜けてしまうので、抜け毛は細く、短いのが特徴です。この症状は、栄養を摂ってストレスが改善されてくれば、治っていくものです。

また、同じような原因で起こる「慢性びまん性休止期脱毛」というトラブルもあります。これは、じわじわと頭頂部、あるいは全体的に髪が薄くなるものです。

髪が抜け出す イメージ

もしも「慢性びまん性休止期脱毛」なら、ストレスや過度なダイエット以外に、貧血や甲状腺疾患、肝機能や腎機能の病気ということもあります。

基礎疾患は医師に相談を イメージ

特に、月経がある女性に多いのは慢性的な鉄不足から起こる貧血です。軽度の貧血は放置しがちですが、脱毛のリスクがあることを忘れてはなりません。貧血になると、頭皮が酸欠となり、髪の毛の成長を促す毛母細胞がうまく機能しなくなります。

また、甲状腺機能の異常も脱毛の原因になります。甲状腺に関係する疾患であるバセドウ病(甲状腺ホルモンが過剰に作られる)や橋本病(甲状腺ホルモンの量が不足する)は、男性よりも女性に多いことが知られていますが、いずれも毛髪の生え変わりのサイクルが乱れて脱毛を引き起こす可能性があります。

基礎疾患がある場合は、医師に相談の上、しっかりと治療することで脱毛も改善します。

今回は以上です!

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